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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 令和6年1月20日号
「無財の七施」で
認定臨床宗教師  酒井 菜法

万物を慈しみ、祈りの時間で安穏を

 訪問看護ステーションと共に行っている自坊・埼玉県三郷市高應寺のがんカフェが11年目を迎えた。
 10年間、多くの人に出会い、話を聴き、改めて“生きる”ことは老若男女問わず「四苦八苦する」連続だと痛感した。
 「神も仏も信じられない! なぜあの人が、(なぜあの子が)亡くならなくてはいけないのか」、「ずっと真面目に生きてきたのに、なぜ何度も病にかかるのか」と悲痛な叫びに返す言葉が見つからず、それでも思いを言果にできる「がんカフェ」があることが少しでも慰めになればと祈るばかりの年月だった。
 仏教では思い通りにならない苦しみを「四苦八苦」という。「生」「老」「病」「死」「愛別離苦[あいべつりく]」「怨憎会苦[おんぞうえく]」「求不得苦[ぐふとくく]」「五蘊盛苦[ごうんじょうく]」。この8つの苦しみを全ての人が経験するが、苦しみを軽減する方法のひとつに仏教では「無財の七施」で説いている。相手に対して「優しい眼差し」「笑顔」「温かい言葉」「思いやりある行動」「共感する」「自分の居場所に歓んで迎える」「安心安全な場を作る」を行うことで、自分だけではなく相手も苦しみから逃れることができる。「がんカフェ」はまさに「四苦八苦」と「無財の七施」の両方を体験する会である。参加者に限らず医療従事者や宗教者も同じように日々「四苦八苦ずる」ひとり。その
1人ひとりが自分のことのように相手に寄り添う姿は神々しく無意識に「無財の七施」を体現しており、すぺての人を救う場となっている。
 「がんカフェ」に限らず各寺院で行われている信行会や法事、葬儀も同じだ。参加者同士みんなが救済者。仏教では救済者を菩薩という。お寺で出会うからこそみんなが仏さまに導かれた仏縁ある菩薩となってあなたのそばにいる。
(ビハーラネットワーク会員・全国日蓮宗相談事業協会副会長)
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